日本 ASEANのスタートアップ企業と連携
中国先導のもと、主にIoTと医療系に重点を置いた事業の雇用を創出することで、日本は積極的に東南アジアのスタートアップ企業に投資を始めています。
日本は、中国が東南アジア地域のテック系事業への投資を行ってきたことを受け、東南アジアで活気のある成長中のスタートアップコミュニティに追いつこうと躍起になっています。
この2年、ASEAN参加国への日本のベンチャー投資株は18%から32%まで増えました。デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社のアジア地域部長の西山直隆氏は、今月13日に行われたASEANビジネス投資サミットで催されたASEANジャパンフェアで、このことを強調しました。
アメリカに拠点を置くリサーチ会社のCBインサイツによると、ASEANのスタートアップ企業は昨年およそ32億ドルの投資を受け、今年は50億ドル近くまでの上るとされたようです。
また、この2年で得た82億ドルほどの投資について、CBインサイツの調査では中国の事業による東南アジア地域への投資は、32.7億ドルほどになるとしています。これらの投資はテック系大手のアリババ、バイドゥ、テンセント主導で行われてきました。
ASEANのスタートアップアップ企業への今年これまでで最大の投資は、シンガポールに拠点を置くグラブキャブへの20億ドルで、これも中国の事業、ディディ・チューシンによるものです。
けれども、西山氏は日本の事業もまた存在感を出し始めていると言います。彼が指摘するのはソフトバンクが上述のグラブキャブへの巨額投資へ加わったことです。
世界の資金提供者はアジア全体のスタートアップ企業の動きをつぶさに監視しており、日本は大きな役割を担っています。
アジアのスタートアップ企業への投資は、2016年全体の流れの40%を占めています。2013年の時点では、アジアのスタートアップ企業への投資額は、世界のスタートアップ企業投資額1300億ドルの、ほんの10%でした。
共同提携企業を探す
こういった方向変換は主に日本国内の市場が弱いため起こっています。
「日本経済は、デジタルの時代に向かって急速に変化しています。日本はソフトウェアに関する知識も経験も不足しています。また、新たな技術革新を起こすような独創性にも欠けているのです」と、西山氏は説明します。
続けて「日本の巨大事業はディバイスを大量生産する設備や装置は持っていますが、ソフトウェアに関する専門知識が不足していることが多いです。海外市場は日本では思いつかないような新しいビジネスモデルを作り上げることができるので、日本はそういった所から学び取り入れることができます。」と話しました。
そうすることで、日本の事業は新しく、成長著しい市場のスタートアップ企業へを見つけ投資するようになるでしょう。
例えば昨年8月、世界大手の自動車メーカーであるトヨタもまた、次世代のテクノロジーファンドのもと、グラブキャブに投資を行いました。これで、自動車メーカーは積極的にグラブキャブと協力して、AIを活用した新たなモビリティ・プラットフォームを構築することになるでしょう。
これはインターネット対応ディバイスのスマート設計の一つで、ASEANのスタートアップ企業と日本の投資家の共同提携の大きな将来性を表していると、西山氏は述べています。
その他の可能性としては日本の人口減少に関連した医療関係の事業が考えられます。
「日本は世界で最も高齢者を多く抱える国で、1.27億人の人口が2060年までに1億人にまで減少することが見込まれています。そのため高齢者のためのスマートなケア、育児、介護ロボットや、リモートヘルスケアなどの解決策が必要です。」と、西山氏。
日本、フィリピンのスタートアップ企業に投資
日本のASEANのスタートアップ企業への関心の高まりを表すものは、新しい産業を育成するプロジェクトです。JETROのビジネス開発部長の平野修一氏によると、日本貿易振興機構(JETRO)が運営するそのプロジェクトは、これまでその地域の10のスタートアップ企業に1200万ドルの投資を行っています。
その中にはグローバル・モビリティ・サービスが含まれています。グローバル・モビリティ・サービスはフィンテック サービス企業としてフィリピンで立ち上げられたスタートアップ企業で、フィリピンの人々が自動車やバイクのローンを簡単に組むことができることを目的としています。
他にもインフォマティクスは、フィリピン人が日本で働けるように必要なIT技術の資格をより簡単に取得することを目的とした企業で、NGOが認証基準を作成してくれます。
平野氏は、JETROが貿易産業部門(DTI)とパートナーとなって、より多くのフィリピンスタートアップ企業を見つけ投資を促しているという話もしています。
貿易産業省のノラ・テラド次官は現在の共同提携は、ASEAN諸国の零細・小規模企業が成長の源だとすると、貿易産業の発展にとって理想的なひな形であると述べています。
次官は「日本はフィリピンの重要な貿易パートナーで、我々はこの関係がお互いの経済利益を生み出す突破口となってくれることをこれからも願っています。[JETROによって財政支援を受けた事業]が社会に貢献することを願う良い例でしょう」と話しました。